エネルギーが背中の一点に向かって集中しているのは分かっていた。

力を解き放つ最後の時が近い。…そう感じてた。

だけどあんなに凄いパワーが自分から放たれるとは思わなかった。

龍也の手を取った時、いきなり背中が熱くなり、僕から流れるパワーが波動となって龍也とその周囲を震わせてた。

龍也はその衝撃を全身で絶えるように受け止め、記憶の波と闘っていた。

天使が大きく羽を伸ばして包み込むように僕たちを衝撃から守り見つめている。

記憶の渦に飲み込まれ苦しげに眉を潜めている龍也。

彼の脳裏にはこれまでのお母さんとの記憶が蘇っているのだと思う。

本当に忘れてもいいの?

忘れたほうが楽ならそれでもいいかもしれない。


……でも、君はきっと後悔する。