優しい母さんの声。


――この声をもう二度と思い出すことが無くなる…。


――全部忘れる。それが俺の望んだ事じゃないか…。


頭ではそう思っていた。


それなのに…


――母さん…い…やだっ…!


心は母さんを求め、光の中へ手を伸ばしていた。


――俺を…おいて行かないでっ!


その手は届く事無く空を掴み…


カッ!とひと際眩しく輝いた金色光の中に母さんは消えていった。


――母さん!いやだあぁぁぁぁっ!!