俺に迷いなく近付いてくる高端に触れた時、きっと必死に支えているものが崩れる。

そう感じた俺は必死に後ずさりした。

こいつに触れたら…俺はダメになる。

優しさや、温かさをもう一度求めたくなる。

母さんを…忘れられなくなる。

そんなものはいらない。

俺はこの森に母親も優しい記憶も全て捨てて忘れると決めたんだ。


俺に優しくするな。


俺に触れるな。


俺の心に響く言葉を聞かせるな。


俺をこの辛い現実へ…呼び戻すな。


「近付くな…っ!…俺に…触れるな――っ!。」



――心が叫び血しぶきを上げる



――その時…



――風が舞い上がり俺を抱きしめたのがわかった。