「佐々木君。やっと見つけた。」

背後からいきなり声を掛けられ信じられない思いで振り返ると、高端があの笑顔で微笑んで立っていた。

「なっ!お前らなんでこんな所に?森に入るなんて…どういうつもりだよ?叱られるぞ。」

ここは生徒だけで入ってはいけないとされている『森』だ。

入学式から先生に何度もしつこく言われているのだからこいつらも知らないはずは無い。

今は時期では無いが、去年の夏にはスズメバチの巣が見つかり大騒ぎになったのは町の者なら誰もが知っている。

本当かどうかは分からないが、ずっと前に迷った人が戻れなかった事があるという噂も聞く。

学校関係者だけでなく、この近隣の住民ならだれもが遊歩道以外を歩くのは危険だと知っている筈だ。

それなのに何故だ?

俺は危険を承知で遊歩道を外れたんだ。

何もかも自分自身さえどうなっても良かったのだから。

だけどこいつらは違うだろう?

何でこんな危険な事をするんだ?

大体どうやって俺のいる場所がわかったんだ?