「この先…ああ、あれだ。
あの大きな木の所。響は少し離れたところにいて。」

そう言って暁が指差した先には、大人が二人で抱きかかえてようやく手が届くような巨木がある。

真っ直ぐに駆け出す暁の後姿を、俺は言われたとおり少し離れたところから見守っていた。


「佐々木君。やっと見つけた。」

「なっ!お前らなんでこんな所に?
森に入るなんて…どういうつもりだよ?叱られるぞ。」

「佐々木君だって入っているだろう?一緒に叱られればいいよ。それに…」

佐々木は禁止されている『森』に俺達が追いかけて入って来たのが信じられなかったみたいだけど、暁は当たり前のようにいつものあの笑顔でサラリと言った。