笑わない、喋らない、無表情な佐々木がその言葉にビクリと肩を揺らして初めて苦しげな表情を見せた。

「…ぅ…な。」

搾り出すような苦しげな痛々しい声。

それを聞いた瞬間、佐々木は大きな傷から身を護るために自分を閉じ込めているんだと俺にはわかった。

「え?佐々木君何か言った?」

一人が寂しいとかそう言うレベルじゃない。

佐々木は人と関わり傷つく事を恐れている。

誰かに深く傷つけられた傷を抱えて必死で耐えているんだ。


「俺にっ…かまうなっ!二度と俺に構うな!」


佐々木の声に俺は胸を抉られるような悲しみを感じた。


「そんな笑顔(かお)をっ…俺に見せるな――っ!」


その姿が暁に出会う前の誰にも心を開かなかった俺に重なった。