きっと母さんは帰ってくる。そう信じて窓辺に張り付き外を見つめる日々。

学校での勉強が必要ないほどに学力が進めば、母さんを探すのに休む事に誰も文句は言わないだろうと思った俺は、母さんを待つ時間をひたすら勉強に費やし、学校から貰った教科書はあっという間に習得していった。

雨の季節に差し掛かった頃には、入学式の日に貰った教科書は既に学ぶ物ではなく『母さんの思い出』となっていた。

だが期待も虚しく、真っ暗になるまで探し回りやつれた父さんが疲れ果てて帰ってくるのを、部屋で一人待つだけの日が続いた。


1週間経っても2週間経っても

母さんの行方はわからなかった。