【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~

俺は学校から飛んで帰ると、母さんが帰ってくるのをアパートでひたすら待っていた。

父さんが帰ってくる前に、もしかしたら帰ってくるかもしれない。もしかしたら電話がかかってくるかもしれない。

そう思うと片時も家を出ることが出来ず、必然的に俺は家で本を読んだり勉強をして過ごすようになった。

テレビをつけたいとは思わなかった。

幸せな家族の様子や、母さんに面影が重なる女の人が映るのが嫌だったからだ。

いつの間にか宝物のようになった【ささきたつや】と母さんの字で書かれた教科書。

それを抱きしめて母さんが帰ってくるのをひたすら待ち続ける。

母さんがマジックで持ち物一つ一つに名前を付けるのを隣りで見ていた数日前の記憶がもう何ヶ月も前のことに思えた。