冬の気配を帯び始めた晩秋の風に舞い、金や紅(くれない)に染まった葉がハラハラと僕らに降り注ぐ。

西に傾きかけた太陽が秋の森の光景に相応しい滲むような朱色で空を染めていた。

冬の足音が近付くと動物や虫たちさえも姿を消してしまった。

人気の無い静かな森には風の歌と木の葉の囁きしか聞こえない。

僕らが森で意識不明で発見された時からこの森へ入る事は今まで以上に硬く禁じられてしまった。

だから僕たち以外は誰も森には近付くものはいない。

あれからあの大きな木の下は僕らの“いつもの場所”になった。