「そうか。よかった。」

「でも暁は今までの癒しの力や天使を見る能力を失っただろう?お母さんを見る事もできなくなって…。」

「いいんだ。力を無くしたのは天使がそう望んだからだよ。
天使は幸せに導くパワーを人に与える事で存在できるんだ。
でももうそれも必要なくなったんだよ。」

「必要なくなる?存在できなくなるって死ぬのか?」

「死ぬんじゃないよ。生きる為に消えるんだ。
愛情とか意志とかの強い力は自然の中に溶け込んで僕らをいつまでも見守ってくれる。だけどお母さんの魂だけは…生れ変わるって言えばいいのかな?わかる?」

「…よくわかんねぇ。」

「天使は人になるんだよ。
今度こそお父さんと生きる為に還って来るんだ。
だからもう天使でいる必要は無くなる。
天使の力を地上の全ての命に吹き込んで消えたんだ。」