「そ…か。心配…かけて…ごめ…。」

「お前が謝ること無い。
だけど、俺の友達でいたいなら絶対にこんなムチャは二度とするな。
…俺はもう誰も俺の前から消えて欲しくないんだ。」

龍也が辛そうに眉を潜めた。

その痛々しい表情に僕は決して龍也を裏切ったりしないと伝えたくて、ギュッと手を握り返した。

僕の気持ちがわかったのだろう。

龍也は、ほうっ…と溜息をつくと強く握っていた手を緩めた。

「もう少し眠れ。次に目覚めた時はもう少し話せる様に、早く回復してくれ。」

龍也の言葉に頷くと、僕は再び襲ってくる睡魔に身を委ねた。

右手に龍也。左手に響の手のぬくもりを感じながら眠りに落ちるその満ち足りた感覚は、あの白い空間に浮んでいた時以上の幸福感で僕を包んでいった。

この手の温もりは…僕の生涯の宝物だ

眠りに落ちる前に、そう伝えたかったのに…。

その言葉が声になっていたかすら確かめられないままに

僕は夢の中に落ちていった。