「…一回だけだ。」

「ん?」

「一回だけお前たちを信じる。一度でも裏切ったら二度とお前たちも誰も信じない。」

「OK!まあ、俺が龍也を裏切る事は絶対にないから心配すんな。」

龍也の言葉に響はそう言うとクスッと笑った。

まだ身体が思うように動かない僕は頷く事さえ上手く出来なかったけれど、龍也は僕の視線でわかってくれたようだった。

龍也は、はあ…と大きく溜息をつくと握ったままだった僕の手を両手で包み込み、自分の額に押し当てると脱力したようにうな垂れた。

「…お前さ、2週間も目覚めなかったんだ。
死んだんじゃないかと思うくらいに蒼白な顔をしてずっと眠り続けていてさ。
俺達心配でお前のおじいさんに頼み込んで、ずっと付き添っていたんだ。」

そう言えば見覚えがあると思ったら、ここはお父さんの働いている僕のおじいさんの病院だ。