そのとき優しい笑い声と共に心に響く言葉を俺は確かに聞いた。

―あなたがあの人と私を迎えに来てくれる日をずっと待っているから―

なに?

どういうこと?


―いつか天使の羽を持つ少女があなたを私へと導いてくれるわ―


俺にはその意味がわからないまま、紅茶の香りに誘われて深い深い眠りの中へと落ちていった。

その言葉はその夢と共に俺の胸のずっと奥深くに忘れ去られ、目覚めた時には記憶に残っていなかった。


このときはたぶん神さまだって想像出来なかったと思う。


この十年後

その言葉に導かれて天使と出逢う事になるなんて…。

そして更に十数年後

その天使によって俺の運命が大きく変わっていく事になるなんて…