大きく羽を広げ崩れ落ちる龍也と響を素早く抱きとめる。

羽に感じた確かな親友の重みとぬくもりに安堵すると、急激な睡魔が僕を襲ってきた。

天使が微笑み僕にキスをする。

これがお母さんとの最後だと僕の心は納得していた。

目が覚めたら僕は能力(ちから)の全てを失っているだろう。

もう二度と会えないんだ…。

でも不思議と心に寂しさは無く穏やかだった。


そんな僕を見て天使は嬉しそうに微笑んだ。


――きっと…還って来るからね。あなたと晃の元へ――