「あれっ、唯鹿じゃん?」

俺は気がついたら、神社脇の沼に来ていた。

「どったの?」

雪は俺を心配そうに見つめる。

「まさか、瑠衣ちゃんに振られた…とかぁ?」

「ちげぇよ」

「だって、唯鹿、世界の終わりみたいな顔してるよぉ」

「どんな顔だよ」

雪は待ってましたとばかりに満面の笑みをしてから言った。

「こぉんな顔」

「ぷっ…」

雪はおもいっきし変顔をした。

「それが、世界の終わりみたいな顔かよ」

俺は軽く雪を小突く。

「あ…」

雪の体が大きく傾く。

まじかよ。

雪が沼に落ちる。

落ち着け、まだあさ…い…

そこは深かった。

陸に近いのに、深かった。

雪を一瞬で飲み込んだ。

「きゃぁぃぁぁぁぁぃい゛ぁぁぁぁぁあ゛あ」