教室には俺を含め六人がいる。

郁奈、良樹、真、雪そして、先生だ。

「はぁ…」

先生のため息が聞こえる。

そして俺をチラ見。
もしかしてこれは…

先生は机にもたれかかり、頬杖をして一言。

「はぁ…」

そして、俺をチラ見。

「…戻って…これた、のか…」

耐えきれなくなって思わず呟く。

雪がんん?という顔をする。良樹がはぁ?という顔をする。


先生は怪訝そうに俺をみた。


「え…あ。」

そこで時間が、時空が狂う。

いや、俺の頭、かな。

ぐるぐる。ぐるぐるってまざる。ふにゃふにゃになる。

目が回る。

気分が悪くなってきたから、目をつむると声がきこえた。


「筒路くっ」
「退屈だからさ」
「わたしが…」
「私を」
「もうやり直しは、利かないよ」「信じて」「全てを」「代わりに」「助けて」「どうし」「なにが」「でも」「きっと」「戻せるから」「君にしか」



「頑張って」





なにがなんだか、誰の言葉かもわからない。


ただ………



「忘れなさい」


声がはっきりと頭に響く。


「今まであったことに囚われないで。今までをなかったことにしてはいけない。今までをなかったことにしなければならない」


「キミの可能性を、信じてるよ」




俺は目を開けた。