あの声は……


「唯鹿!瑠衣っ!」

そう、俺の、声……

この状況は…

沼には、二人の子供がおぼれていて、一人の子供が呆然と立っていた。

その子供は俺に気づくと、泣きながら叫んだ。

「助けてっ!瑠衣をっ二人を、助けてっ!」

「…あ」

瑠衣が、真の妹が死んだ日だ。

「俺に任せなっ」

俺の後ろから声が聞こえた。

男がさっと俺の横をすり抜けて沼へ飛び込む。

あれは

「父さ……」

生きていたときの父さんだ。


父さんは子供の俺をつかみ投げる。

瑠衣を抱えたとき、バランスを崩し、瑠衣と共に沼に沈んだ。

「父さんっ!」
「瑠衣っ!」





俺はどうしてここにいる?


父さんを助ける為じゃないのか?


父さんが死んだという過去を、変えるために。



俺は神社に走る。


祠のなかに入る。

奥に進む。


…彼女が、いた。


「やぁ、お帰り」


黒野、澄香

「キミの願いは知っているよ。もう一度、やりなおすんだね?」

俺は首を縦に振る。

「了解したよ」


「あ。ひとつ忠告しておく」


黒野澄香は微笑んだ。


「一回で成功させろ」