なんだか、とても長い夢を見ていた気がした。

長い、永い、夢…



薬のにおいがする。

目を開けると白い天井が見える。


体がだるい。

「…」


声を出すのもしんどい。

「…」

だれかに気がついてほしくて体を動かす。

「唯鹿っ」

母さんの声がする。

「筒路さん、こちらです。」

足音が俺の隣でとまる。


…母さん?

「唯鹿っ!どうして沼なんかに…」


沼?

まさか、あの後、助かって…?


俺は体を起こして横を見た。

「…!?」


「唯鹿ぁーー」

母さんが泣いている。


「あなたまでいなくなってしまったら、私……」


いなく、なる…?


俺は足元を見た。


俺が、消えて…

「うぁあぁぁぁっ!」