郁奈は待ち合わせには来なかった。

「どうしたんだろねー」


俺は知っている。俺だけは知っている。

待ち合わせに来なかったやつの運命を。

どうして一人にしたのか。

「唯鹿っ!?」

俺は駆け出していた。

手がかりもなにもない。

けど、なにか行動しなくては。

「俺、郁奈の家まで行ってくる!先行ってて!」

「あぁ。わかった」







数10分ほど走って郁奈の家についた頃には息も切れていた。

ピンポーン


チャイムをならす。

「はーい。あら、唯鹿くん」

「郁奈はいますか?」

「えぇ。いるわ」

少し安堵した。

生きている。

「すぐに神社に来るように伝えてください」

「その必要はないよ」


凜とした声が聞こえた。

「筒路くん、ごめん。今行く」