結局、みんなが集まってくれた。


鍵は、やっぱ見つからないのかな。

ポケットには確かな重みがある。確認しなくてもわかる。


時計だ。


「あったぁ!これじゃない?」

雪が突然大声を出した。

「なっ…」

んで?今までは見つからなかったのに。
「あら。本当っ!これだわ…ありがとうっ!みんなっ!」

先生が大喜びをする。

「あ」

先生がなにかを思い出したかのような顔をする。

「…村長さんに会いに行くんですか?」

先生はえ?という顔をする。

「え。行かないわよ?どうして?」

「っ!?い、いえ、勘、です」

俺は郁奈を見る。

郁奈は不思議そうな顔でこちらを見ていた。

…今までと違う、のか…?


「今日みんなお祭り行くでしょ?」

「はいっ!」

雪が元気に返事をする。

「…花火には気をつけてね」

「はい?」

真が反応する。

「手持ち花火とかで火事には気をつけろってことじゃないのか?」

良樹が言う。

みんなが納得する。

違う。そうじゃない。

「せん……」


「それじゃぁ、皆!ありがとー!お祭りでねっ!」