阿万寿 郁奈は俺が小学2年くらいの時にこの町に引っ越してきた。


その時のアイツはなんて言えばいいのかな。

まさに小動物。 すぐにでも泣きそうな顔でビクビクしてたな。

それは、アイツが住んでる家の主はなんかこう…意地悪な奴らだからなんだ。

まぁ、両親を一度に亡くした上に知らない土地に来たからってのもあるだろうけど。

でも俺は見たんだ。
郁奈んとこの阿万寿さんが(まぁ、親戚ってやつだな)郁奈を“虐めていた”んだ。

どういう風にって?
まぁ、昼ドラかなんかにありそうなやつだよ。そこはご想像におまかせします、ってな。

とにかく、そんな光景を見てから俺は幼なじみたちと共によく郁奈と遊びに行ったり、泊まりに誘ったりしていたんだが……

逆効果だったのは言うまでもない。

今は何もすることがなくって見て見ぬ振り状態だ。

え?大人に相談しろって?

簡単に言ってくれるよね。

阿万寿さんたちは近所で有名なんだよ“とても親切なココロ優しい夫婦”ってな。

皆そういうぜ

「郁奈ちゃんは良かったわねぇ…阿万寿さんたちに引き取られて」

…良いもんか。