「どうしたんだよ、急に」

「それが…」

良樹は俺をチラリと見る。

「郁奈が昨日の夜から消えた。…雪も、今はどこにいるのか…」

「そう、か……」

郁奈は雪に殺された。雪は事故死だ。

そして、探されている二人は俺のところにいる。

「女子会でも開いてるんじゃね?」

良樹はまじめな顔で言う。

「唯鹿、雪はどこだ?」

「は…」

良樹はタオルケットを一瞥し、勢いよくめくる。

「な」

「…やっぱり、雪を殺したんだな?」

良樹はゆっくりと立ち上がり、まどの近くに行く。

「俺たち、親友だったよな……」

良樹が窓を開ける。

次の瞬間、俺は勢いよく窓の外へ放り出された。

何がおこったのか理解できない。

「っな!よ…」

地面に打ち付けられ、全身に痛みが走る。

すこし遅れて良樹が俺の上に落ちる。叫ぶ元気もない。

良樹の頭は割れた。
多分俺も。

手になにか冷たい金属が当たる。 チェーンがある。


…時計、だ