ただ、自分の家の地位を高めるため。
子でさえ、孫でさえ、駒に使うのか..。
「理解出来ません」
「当然よ、それが当たり前なのよ」
ひかりさんはそう言うと、またため息をついた。
「今はもう、詩織のこと探してないみたいね」
「.....」
「最初の頃は、いろんな施設に声かけたり、広志さんにしつこく電話してたりしてたみたいだけど。
今は...何もないって言ってたわ」
ひかりさんは笑うと、俺の肩に手を置いた。
何を言うわけでもない。
ただただ肩に手を置いて、思いつめたように下を向いていた。
「ひかり...さん?」
「忠仁さんの弟...弟とその妻のおかげだそうよ」
「え?」
「その夫婦が、詩織の存在を消すように、いろいろとカバーしてくれたって噂ですよ」
ひかりさんはそう言うと、部屋から出て行った。
間宮家の次男。
その夫婦が詩織を守った?
何故?
自分達には不都合なことばかりじゃないか?
遺産?
いや、そんな簡単なことじゃない?
俺は頭を抱えながら、ソファーに寝転んだ。

