間宮家の人間は、その悪影響を志乃さんのせいだと考えた。



だから、結婚は認めなかったんだ。



じゃあ詩織は...?

あれ?
詩織は間宮家に誘拐されかけたんじゃ...。




「詩織の誘拐事件だってそう、間宮家の自己中心的な考えよ」



「え?」




ひかりさんは口を塞ぐと、ため息を一つついた。



きっと俺の顔が、知りたいという顔だったんだろう。




「詩織を渡せ。

優秀な間宮一族の人間にする」



「.....」



「詩織を抱えた志乃さん、そして傍にいた忠仁さんに言った言葉よ」




何故だ?



何故、認めてないのに、

詩織だけは間宮の人間にしようとした?




「跡取りね。

志乃さんに権力が無くても、遺伝子は完璧だったもの。


優秀な間宮家の長男のDNAと、学力や見た目にも優れた志乃さんのDNA



いらないワケが無かったのよ、間宮一族には」



「権力のある家に、嫁がせるため..ですか?」




ひかりさんは俺を見つめると、静かに頷いた。




「長男がダメなら、

娘で返せってことでしょ。


それほど、間宮にとっては子は人形だったのよ」