ひかりさんが通してくれたのは、
私の部屋だった。
でも、高校を卒業して出て行った後、
一度もこの部屋を覗いて無かった。
まさか、そのまんまだったなんて。
「広志さんがね、いつ詩織ちゃんが帰って来てもいいようにって。
でも、詩織ちゃんが結婚の挨拶に来たら、
その日に片付けよう…って。
その日は、今日なんだけどね。」
ひかりさんはそう言うと、テレビのリモコンに手を伸ばした。
テレビの電源を入れると、ビデオ2という表示
そして、ある家の風景が映った。
「じゃあ、間宮さん、
私がこの部屋を出たら、再生ボタン押してね」
「あぁ、はい。」
ひかりさんはリモコンを慧に渡して、
ゆっくりと私の部屋のドアを閉めた。
慧は私に視線を送る。
なんとなく、私も慧も、なんのビデオか想像出来たから。
「いいか、詩織」
「うん、いいよ。
再生…押して……………………」
再生を押すと、10秒くらいは沈黙だった。
慧が床に置いたリモコンに手を伸ばして、
もう一度ボタンを押そうとすると、
テレビに二人の男女が映った。

