私には、もったいない人。
私にはもったいなさすぎて、時々深く悩んでしまうほど。
『俺が必要か?』だなんて、私には愚問。
必要に決まっている。
慧こそ、こんな私でいいの?って。
でも聞いたら怒るのよね、慧は。
だから慧の質問も、私の喉まででかかった言葉を飲み込むため、頷きだけ。
その一回の頷きに、ありったけの想いを込めて
『慧、愛してる。』
こんな私を、過去ごと抱き締めてくれて
ありがとう。
「詩織ちゃん!」
「ひかりさん…お久しぶりです…」
「そんな緊張しないで、間宮さん…もね」
ひかりさんは、私と慧に微笑むと、
家に手まねいた。
玄関に入ると、広志さんは正座をして、
眉間にシワを寄せて、待っていた。
「広志さん、そんな顔してたら、
詩織ちゃんも間宮さんも、緊張しちゃうわ」
「姉さんを考えるとな、どーしても…
きっと姉さんも、御兄さんも
間宮慧くんを、見たかっただろうからな。」

