傷ついてない。
と言ったら嘘になるし、それが友達が出来ていく一つのコミュニケーションにもなっていたのも事実。
だから、空気を壊さないためにも笑っていた。
私はこんな人生送ってきました、変わってるでしょう?って。
広志さんや、ひかりさんのためじゃない。
全部、結局は自分のため。
何かをまた失うのが怖くて、無くなってしまうのが怖くて、自分を知らないうちに傷つけていた。
慧が花香に私の過去を聞いた日、彼は仕事を終えてそのまんまで、私の家まで来た。
『俺一人じゃ物足りないかも知れないし
俺がいなくなっても、詩織は困らないかも知れない。
だけど俺は、詩織が自分の意志でいなくなる時以外は、詩織をこうやって抱き締める。
詩織…痛かったら言って辛かったら言って……
俺が誰よりも先に、詩織を抱き締めるから。
いらなくなったら、怯えずに、怖がらずに、いらないと言ってくれ
俺に同情なんて、
一切いらないからさ』

