柿園家に“あの”間宮慧がいる。



柿園になった時から、フワフワと想像していたことが、やっと今形になっていく。



柿園家にいるのが、辛かったとか、肩身の狭い思いをしていたとか、そういう話しではなくて。



ただ、ちゃんと社会人になって、女としての幸せを掴むのが、私が唯一出来る恩返しだと思っていた。



思っていた…し、今でもその考えは変わってない。



でも、いつか出来るだろう本心で生きていたら、慧に出会うまで、彼氏という存在は出来なかった。



16になって、法律上の結婚が可能になった時、私は一生ひかりさん達にお世話にならなきゃいけないかも…

とか思って、ちょっと泣いた日もあった。



私は悪く言うと、お荷物の子供で、良く言うと、可愛い子供。



運動も勉強も、将来のために誰よりも努力したから。



だから花香も他の友達も私の性格を知ると、みんな口々に意外と声を揃えた。



馬鹿そうな性格。


みんな私をこう言って、からかった。