ただ、人差し指が重なっただけなのに。



なんで、今更になって、こんなに恥ずかしいのやら。




「はい。詩織ちゃん?」



「あっ、ひかりさん…
詩織です。
柿園詩織…です」




ひかりさんはインターホンの向こう側でクスリと笑った。




「あなたが、柿園詩織ってことは知っているわ」


「あっ、ですよね」



「フッフ。
詩織ちゃんは相変わらずね。


隣にいるのは間宮慧さんですよね、詩織と一緒にどーぞ」




ひかりさんはそう言うと門を開けた。


キィィィと錆びた音が響く。


間宮家の門とは、また違う音。



でも、間宮家には負けるなぁ。


間宮家ほどに、大きくないし。




「早くしなさい」



「「あっ、はい」」




私達は同じような顔をすると、門をくぐった。




「慧、頑張ろうね」



「詩織も気楽にな」




慧は優しく微笑むと、ネクタイを締め直した。



私よりも、慧が気楽な感じがする。


でも、何だか不思議な感覚だ。