私も不安げな顔をしていたのだろうか、紗智子さんが私の顔を見つめた。
「大丈夫よ、慧は私の自慢の息子よ?
ひかりさんと広志さんだっけ?が反対するハズが無いわ。
だって、詩織ちゃんと慧を見て、否定するところなんて、反対するところなんて、一つも無いもん」
慧は苦笑いを浮かべると私を抱きしめた。
「あら~お熱いわね!
与一郎さん、私達場所変えましょ」
「変な気遣いいらねぇよ」
慧はそう言うと、私から離れた。
抱き締められながら、確かに耳元で聞こえた。
『母さんの言う通りだな
大丈夫だ、詩織に辛い思いはさせない』
慧は与一郎さんと話しながら、ゲラゲラと笑っていた。
さすが親子。
笑い方とか、笑い声がソックリだ。
右に出るえくぼとか、改めて見ると、慧の魅力がよく分かる。
「幸せそうね、詩織ちゃん」
紗智子さんにクスリと笑われながらも、私は頬を緩めまくっていた。

