慧に変な顔をされながらも、私は笑いが止まらない。
「詩織ちゃん、可愛い!」
紗智子さんに抱き締められる。
慧が怒る。
与一郎さんがなだめる。
「幸せ」
「詩織ちゃん?」
「慧の家族が、暖かくて良かったです」
私の言葉に、紗智子さんも与一郎さんも、変な顔をしなかった。
たぶん、私が眠っている間に、慧がすべて話したのだろう。
私の過去のすべて。
「詩織ちゃん…私のこと何て呼んでくれるの?」
「えっ…?お母様…とかですか?」
「紗智子母さんって呼んで?
夢なのよ、娘にそう呼んでもらうこと」
私は目を見開くと、慧は声を上げて笑っていた。
「それ、中坊の俺にも言ってたな」
「息子に期待するのは、止めたんよぉ~」
紗智子さんはそう言うと笑いながら、私と慧を同時に抱きしめた。
「く、苦しいぃんだよ、馬鹿ッ!!!!」
「照れんな、照れんな!」

