苅谷は両手を強く握って頷くと、決意をしたのか真っ直ぐに俺を見た。
「死んだの。
詩織のご両親は、詩織を預けた1ヶ月後に…亡くなった………」
「えっ?」
苅谷はコーヒーカップを店員に渡して、次にオレンジジュースを頼んだ。
俺にはまだ、飲み物は残っている。
「詩織の母親と父親は、父親の両親に結婚を反対されてた身で、詩織を身ごもったの」
「………………」
「反対され続けて、一年目のことだったみたい」
苅谷のもとにオレンジジュースが来て、苅谷は一気に半分まで飲み干した。
「詩織が出来て、無理やり結婚してね
すべてが上手く行ったと思ったのよ
無理やりだったけど」
「………………」
「したら、4歳の時に、
父親の両親に誘拐されかけたの」
俺は苅谷を見つめて、言葉をひたすら疑った。
「父親の両親だから、誘拐は言い方酷いのかな?
分かんないケド。
でも父親の両親は、詩織を自分達の養女にしようとしたから、誘拐は間違ってないね」

