慧は抱きついたまま、私の服の中に手を入れる。
「さ、慧?」
「一個だけ、詩織ちゃんに反省してもらいたい事があるんだよね」
…………反省してもらいたい事?
そんな事あるっけ?
むしろ私が、慧に反省を求める側じゃないの?
「“やす”って誰?」
………!!!!!!!!!!!!?
何で、やすぅの事知ってるのですか?
慧に言ったっけ?
「間宮慧という彼氏がいながら、合コンですか?
柿園詩織さん?」
「ふえッ!」
「もーすぐ間宮詩織になるんじゃない?」
“間宮詩織”
その響きを慧に言われると、なんだか照れる。
自分で想像するのは何とも無いのに。
「どうせ、苅谷の知り合いか何かだろう?」
「う、うん……大学時代のバイト先の人」
「連絡先消せとは言わないけれど、連絡取らないで欲しい」
シュンとなりながら慧はそう言うと、私を抱き締める力を強めた。
「慧………ゴメンね」

