気がつかなかったら、私が怒る?
いや、元々慧の性格を理解してるから、怒るも何も無いけど?
しかも髪色も、変えたわ変えたケド………
大して変わってないよ?
美容院の鏡を見つめて、自分でも思ったくらいだもん。
金の無駄だったんではないかと本気で思った。
毛先も揃えたし、少し切ったんだけど……慧と遠距離になってすぐに切った。
もう何ヶ月も前の話。
逆に気がついた慧を、不思議と褒めてあげたいくらい。
「よく気がついたね」
「なんだよ、その冷たい反応」
「だって自分でも、失敗したなぁ髪って」
慧は鼻で笑うと、ベッドに寝そべった。
私は横に座って髪をいじる。
「体調不良は、俺が医者だから分かるんだよな」
「う………ん」
「でも髪色に気づくのは、俺が詩織の彼氏だからかな?」
後ろから抱きしめられていると、未だにドキドキする。
耳に息がかかってくすぐったい。
「慧?」

