私はただ、目の前にいる慧Satoshiを見つめていた。
いつ帰って来たの?
この部屋は何?
そして、この格好は何?
「慧…なんでいるの?」
「帰ってきたから」
いや、そーじゃなくて。
間違っては無いけれど、その回答は困るよ。
「ここが、俺らの新居だから」
「えっ?」
何故か慧は私のシャツを持っていて、それを私に渡すと、キッチンに向かった。
「酒のあとは水がいいか?」
「えっ?
………………ウッ」
酒のことを思い出したら、いきなり吐き気が。
口を抑えていると、慧は指を使って、目で訴えてくる。
「トイレで吐いてきますぅ………」
本当に冷たい。
医者だからかな?
凄く生体扱いな気がするんだけど。
あぁー
気持ち悪いんだけど。
焼酎ストレートをがぶ飲みし過ぎた。
元々、酒なんか強くないくせに。
しかし、花香と飲んでいて『決めたから』の後を覚えていない。