後部座席を開けて、詩織を抱える。
「うーん、離してぇ」
「嫌だ、一生離すか!」
詩織の荷物を持って、詩織をお姫様抱っこして
…きっとお姫様抱っこは詩織に怒られるだろうケド。
酔ってる詩織が悪いということで。
しかし、未だに詩織は、俺を苅谷だと思っているらしく、呑気に鼻歌を披露してくれている。
何故演歌なのか、凄く気になるケド。
こんな一面は、初めて見たに等しい。
「さと、しぃ」
「起きたのか」
「んん、寝てる」
詩織は酔っ払って寝ると、こうも変になるのか。
これも初めてなワケで、またニヤニヤが止まらない俺。
エレベーターの中で、俺は詩織の額に唇を落とす。
元々、天然気味の詩織さん。
ファーストキスを奪った時も、不思議ちゃんオーラで怒りを向けられていた。
『なんで私に、チューしたんですかッ!
一番目の人なんですよ!?
あなたが、あなたが…
格好いいあなたが…』

