俺の首に手を回し、肩に頬をつけて寝ている。
横目で見ても、詩織は可愛い。
この状態でも、街を歩く男子は詩織を見る。
おぶっている相手がたとえ男で、彼氏みたいでも、詩織は声をかけられるんだ。
彼氏の俺としては、本当に勘弁して欲しいんだが。
デート中も目を離せないし、
ご飯を食べに行くときは、なるべく薄暗くて高級なところ。
そのほうが、声をかけられる率は少ないことを発見。
詩織は最初、戸惑いを隠せないでいたが、今ではおいしそうに食べている。
「詩織」
「うーん」
まだ夢の中か。
しばらくは、目を開けることは無さそうだな。
俺は詩織を一回降ろし、路上駐車しておいた車に乗せる。
助手席は危ないから、後部座席に。
詩織を起こさないように、静かに寝かせた。
「やすぅーのばぁかぁ」
後部座席を叩きながら、詩織は寝言を言っている。
その寝言が男だと分かっているから、さらに腹が立つ。
「やすぅって誰だよ」

