店員は、私達に頼んだ物を確認することが無いまま、席を離れていく。
「せめて、生でしょう!?」
「酔いたい気分なの」
「気分って…あなた、ビールを三杯飲んだだけでも酔っ払うのに」
「うるさいッ!酔うの、酔っ払いになるの!!」
左手の指輪を取って、机の上に置く。
花香は呆れ気味に、生ビールを口にした。
「だいたい、何で、一年も放置なワケ?」
「うん、そーだね」
焼酎を一気飲みして、左手を高く上げる。
「店員しゃーん、焼酎ストレぇートでぇ」
「はぁ、酔いが出てきた」
花香は麦茶を頼むと、携帯を取り出して、私の鞄から携帯を出した。
「さっきから、なんらのよぉー」
「いいから、ってか、何杯焼酎ストレート頼んだの?」
「よんでぇすん」
出来上がってきた私を見て、花香は覚悟を決めたように電話をしに行った。
「花香ぁ?」
「もう決めたからね」