花香はまたもや携帯を奪うと、通話をブチリと切って投げる。
頼むから投げないで欲しいなぁ…。
「やすぅーッとの合コンがッ!!」
「馬鹿なの!?
あんたは婚約中だろうがッ!!」
「あ、あんな浮気男なんか知らない……」
花香は苦笑いを浮かべると、居酒屋に足を向ける。
「えっ!?」
「合コンはヤバいから、女同士で酒行こう」
「私は合コンをしたいのぉー!」
花香に宥められながら、居酒屋に入って、席に座る。
まだ夕方になったばかりで、週末なのに、そんなに人が入っていなかった。
「ほら、何飲むの?
……私は生で」
店員が私を見て、私の言葉を待っている。
彼と同じように、モテる顔してるな…。
そう考えると、また腹が立ってきた。
私はメニューを握り締めると、小声で呟く。
「何?聞こえ「焼酎ストレートで」
花香と店員は、目を丸くして私を見る。
「聞こえてないの?
焼酎ストレートッ!!!」