泣きそうなのをこらえていると、家のチャイムが鳴った。






誰だよ、こんなときに…。







「はい…。」

「如月祐介の娘さんかい?」

「そうですけど…」

「君のお父さんの働いてる会社の社長の、富沢と申します。」

「社長さん…ですか。」







ほんとに来たよ、バカ親父…。






とりあえず、家にあげたけどさ、あたし何言われんの?






もうやだ、怖い…。







「お茶、いれますか?」

「結構です。」







どうしよう、この沈黙。








「如月くんは?」

「家出しました。」

「そう言えと言われてるのかい?」

「違います。ほんとに家出しました。これ、見ますか?」







社長に置き手紙を渡した。





それを読んだ社長はため息をついた。







「君も大変だね…。」

「はい。」

「お父さんがなにをしたか知りたいかい?」

「いえ、いいです。父に代わって謝ります。ごめんなさい。」

「いや、謝るほどのことじゃ…。」






親父が何をしたかなんか興味ない。





どこ行ったかは興味あるけど!