山本 雅也は、あたしを家まで送ってくれた。
途中の公園まででいいって言ったのに、体調が悪そうだからって言って送ってくれた。
学校から、家まで他愛もない話をした。
話してみるとけっこう楽しかった。
だから、雅也って呼ぶことにした。
いままで、フルネームでしか呼ばなかったから、雅也って呼んだら、かなり喜んでいた。
そんなに、うれしいことかなぁ、って思ったけど、雅也はけっこう面白い。
いつもの自慢話もするけど、友達の話を目をキラキラさせながら、話してくれた。
知ってか、知らずか分かんないけど、そこに紘の名前は1回も出てこなかった。
それが、ありがたかった。
「雅也、わざわざ送ってくれて、ありがと。」
あたしは、お礼を言って家に入った。