ほら、制服も返してくれたんです」
シュウはすごく嬉しそうだ。
今までにないくらい最高の笑顔をエレーナに見せた。
「そうですか、それは良かったですね」
その時エレーナは、シュウの姿が今までより色素が薄く、かなり透き通っている事に気がついた。
「これは!」
エレーナから笑顔が消えた。
エレーナはショックのあまりに言葉が出なくなった。
けれども、シュウは、なつみに認められたことがあまりにも嬉しく、自らの状況にいっこうに気づいていない。
エレーナは、シュウにこの事に気づかせようとしたが、シュウの姿を指でさすのが精いっぱい。
その時、エレーナの手は、動揺のあまりひどく震えていた。
エレーナがこわばった表情で自分を指さす姿にシュウは、ようやく気づいた。
「あれ?、エレーナさん、僕がどうかしたんですか?」
その時初めて、シュウは自分の手に目をやった。
「これは一体!」
シュウは、自分の姿を見回した。
「ウワー、消えかけている!
僕、どうなっちゃったんですか? エレーナさん、僕は消えちゃうんですか!」
シュウは、パニックになった。
「落ち着いて下さい」
エレーナは、その時ようやく言葉が出た。
ひどい混乱状態のをなシュウを、必死の思いで落ち着かせようとした。
「シュウ君は、絶対消えません。
貴方が消えないように、私が絶対何とかして見せます」
エレーナは、ショック状態のシュウを見ていられずに、とっさにそう言ってしまった。
だが、消えかけた幽霊を助ける方法なんてエレーナは知らない。
自分でもどうしていいのか全く分からないのに、つい、何とかすると口を滑らせてしまった
エレーナは、ひどく後悔した。
もし、シュウを助けられなかったら? エレーナ自身非常に不安になった。

 そして、シュウの姿がいつも消えかかって見えるようになった。
シュウの霊体の色素が以前より薄い事に、クラスメイト達も皆、気づき始めたものの、斬り付け事件の騒ぎがきっかけで、シュウが幽霊である事は、既に学校中に知られ、幽霊というものは透けて見える事もあるので、誰も驚きはしなかった。
シュウの色素はどんどん薄くなっていき、エレーナや、プリシラは危機感を強めた。
「シュウの霊力にそろそろ限界が来ているのかもしれないな」
ジェーシーは冷静に分析する。
「それは、どういうことですか?」
「では、今のシュウは、お前にはどう映る?」