エレーナ再びそれぞれの想い

 そんなシュウを教室の隅で見ている女子生徒がいた。
クラス委員長の塚本千鶴だ。
千鶴はなぜか他の女子達と違って、シュウに対し敵対的じゃなかった。
ややぎこちない点はあるものの、好意的なくらいだ。
シュウへの追い出し作戦が行われていると、
「やめなよ」と、一言止めに入った。
すると、一時的ではあったが、シュウに対する敵対が収まった。
シュウはすきを見計らって逃げる事が出来た。
ただし、千鶴が目を放すと、再びシュウを捕まえて攻撃が始まっていたが。
千鶴は、クラスの連中から一目置かれていた。
実家は金持ちで、祖父は地元の政治家。つまりお嬢様だ。
でも、毛並みの良さや頭が良い事を鼻にかけることもなく、クラス委員長としての役目もそつなくこなし、それなりの人望もある。
シュウは、なぜ千鶴がいつも自分を助けてくれるのか分からなかった。
それに、好意的な割には千鶴の表情は硬く、無理をしている感じだ。

 シュウの身を案じたエレーナとプリシラは姿を消し、シュウの学校に潜入、彼を見守る事にした。
ある日、シュウが寮へ帰宅すると、
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
プリシラがシュウをメイド服で出迎えた。
「どうしたんですかその服。それに、お帰りなさいませって……」
プリシラのメイド服に驚くシュウ。シュウが思った通り、メイドオタク趣味の天使だ。
「あっこれ、人間界での普段着なんです」
「しかし、その格好は何て言うか……」
シュウは冷めた視線だ。
プリシラは、シュウが寮へ帰宅するたび、メイド服で、
「お帰りなさい、ご主人様」
と出迎える。
シュウは、毎日プリシラのメイド趣味に付き合わされる。
プリシラは、シュウを食事や飲み物で接待する。
シュウもそんな、プリシラのオタク趣味に、少しは慣れて来た。