エレーナ再びそれぞれの想い

 次の日、女子達のシュウに対する追い出し作戦はさらに激化した。
再び女子達に囲まれたシュウ。
「これ着なさい」
なつみは、制服をシュウに投げつけた。
「これは、女子の制服じゃないですか!」
どこで用意したのか、予備の制服をシュウに着るように命じるなつみ。
女子達は、無理やりシュウの体を押さえつけた。
「やめて下さい!」
シュウの悲鳴も虚しく、無理やり女装させられた。さらに
「これもつけなさい」と女性用の長髪かつらまでつけさせられた。
「ひえー、これが僕?」
鏡を見せられたシュウ。
あまりの我身の変わりように悲鳴を上げた。
女子達はクスクス笑う。そのうち何人かが「かわいい!」とからかい出した。
シュウは、色白で美少年、きゃしゃな体型、しかも女顔、女声だ。
それが原因で前の学校でもいじめられた。
「制服返して下さい!」
「この学校にいたければ毎日、その格好で学校にくるのね」
なつみはシュウを睨みつけ、その甲高い声は、冷酷なほど教室内に響き渡った。
「えー!」
「じゃあ、前の学校に戻されたいの?」
「それだけは勘弁して下さい」
前の学校の荒れ様は半端じゃなかった。
授業は成り立たず、校内暴力など、警察沙汰はしょっちゅう。
さらに、学生寮は上下関係が厳しく、体育会系そのもの。
シュウは先輩達にしごきを受けた。
それに比べたら、寮は静か、授業はまともに受けられる。
容姿と声をからかわれるのは、子供の頃からのことで慣れていたし、
前の学校に戻らされるぐらいならと、シュウは女子の制服を着ることにした。
こうして、シュウは転校早々、女子高の厳しい洗礼を受けることになったのだ。

 ぶざまな女装姿で寮に戻ってきたシュウを見て、プリシラは驚いた。
「ご主人様、どうしたんですか? その格好!」
「制服取られちゃいました。うちの学校に居たければこれを着ろって」
「いったい誰がそのような事を。ご主人様にこのような仕打ち、許せません」
プリシラはすごいけんまくだ。
「いや、いいんです。以前の学校はすごく荒れていて、先輩にいつも殴られました。それに比べたらこれくらい」
シュウはプリシラをなだめる。