白川シュウの実家は実業家で閣僚も輩出。いわゆる名門。
シュウに対し一族から将来の期待もあるが、本人は病弱。
それに、白川一族はなぜか女性の比率が極めて高い。
そのせいか、同性よりも女友達の方が多いという特異な環境で中学まで育った。
高校は、「まったく違う環境で社会勉強を」との親の進めもあり、寮制の名陵学園塚原高校に進学した。
だがその病弱さと、中学までの周囲は女性ばかりの穏やかすぎる生育環境が災いし、上下関係の厳しい寮で先輩にいじめられ、なじめなかった。
そしてあえなく、同じ系列の名陵学園由乃高校へ転校を余儀なくされたのだった。
病弱なシュウを心配した母が、彼の新しい学校生活支援のため天使召喚術を使い、天使と契約させた。
ところが、現れた天使プリシラは少し変わっていて、契約者をご主人様と思い込んで仕える。
学校の連中にも天使と契約している者がいる。

 転入手続きのため、名陵学園由乃高校に来たシュウ。
「白川シュウ君だね、こちらは佐倉むつみ先生。白川君に学校の施設を案内してあげて」
校長の指示で、佐倉先生はシュウを連れ、学校内を案内した。
学校内はどこへ行っても、なぜか女子しかいない。
「先生、ここ女子高なんですか?」
「昔はね。今は一応共学。ほら、学校のパンフレットにもそう書いてあるでしょう? でも、学校の体制が悪くて失敗しちゃったんだ」
まるで他人事のように話す佐倉先生。そこに教育者としての誇りや自覚は感じられない。
 もう少し説明すると、名陵学園由乃は元女子高。少子化で共学化を図ったが、全校生徒達が猛反発。また、学校の体制も悪くあえなく挫折。
男子には不人気で、共学化後入学した生徒はわずかひとけた人数。
女子生徒達の結束力は固く、集団による締め出し、妨害等に遭い、次々と退学、転校を余儀なくされた。
女子生徒達は、さまざまな理由で大の男嫌い。共学といっても名ばかりで、事実上の女子高。
同校のパンフレットにはすみっこに男子も受け入れていますと書かれているが、
今年度入学者はゼロ。
未だに、卒業までたどり着けた男子はいない。