たとえ、清らかな心とまでもいかなくても、より良い人間社会、天上界の存続を強く
望む純粋な想いがあれば、一時的ではあっても人は清らかになれる。
その一途な想いが清らかな心に似たパワーを出す。
純粋に何かをこうしたいという想い、そしてそれを思い続けている時、人は一時的にピ
ュアな気持ち、ピュアな心になれる。
みんなが同じ想いを強く持てば、きっとこの状況は乗り越えられる。
その事に気づいた、エレーナ達。
それを実行すべく、協力してくれる者を少しでも多く集める事になった。
だが、どうやって人間社会に、それを伝え、協力を求めるのか?
エレーナ達が呼びかけたからといって、すぐに協力者が集まる訳ではない事ぐらい、彼
女達にも分かっていた。
天使だの、天上界だの、そんな現実離れしたものを信じる人間がどれだけいるというの
か?
「私に任せて」
サラがそう言った。
「任せてって、一体どうするんですか?」
エレーナが心配した。
サラには、考えがあった。
「私は、これでも有名人。私がメディアで訴えれば、協力者は得られるはず」
確かに、有名人のメディアでの影響力は計り知れない。
だが、いくら有名人の言葉でもあまりにも現実離れし過ぎている。
下手すれば、サラから心が離れていってしまうファンがいたとしてもおかしくはない。
これは、もろ刃の剣だ。
 サラ・シンフォニーは、久々に芸能活動を再開、メディアに露出し、自分が本当に天
上界の天使である事、天上界が危機的な状況にある事を打ち明けた。
「皆さんに私から大切な話しがあります。聴いて下さい。
私には、アイドル天使というキャッチフレーズがついていますが、実は私、本当に天使
なのです。
でも今、私の古里、天上界は、存亡危機に直面しています。
それは、私達天使に生きる力を与えてくれている、巨大樹が枯れかけているからです。
巨大樹の養分は、人間の清らかな心から発せられるエネルギーなのです。
でも、人間社会は荒廃し、清らかな心を持った人が著しく減ってしまいました。
それが、巨大樹の生命力を奪っています。このままでは私達天使は消滅し、天上界は滅
びます。
どうか、皆さん私に力を貸して下さい。
人間社会が良くなるように、そして、天上界が生き残れるように、純粋な想いで強く願
って下さい。
私の歌を聴いてくれる人達には、きれいな心があると、私は信じたい。