「エレーナさん達のためです」
とシュウは強調。
「なぜそこまでしてその女の肩を持つの? エレーナは貴方の何なの?
貴方、エレーナの事が好きとでも言うの?」
「それは、その……よく分かりません。でもそういうんじゃないような気がして……」
シュウは言葉を濁らせた。
エレーナは、不安そうにシュウの顔を見る。
「分からないって、自分の気持ちが分からないというの? 呆れたものね。
私は貴方のそういう気持ちが分からない」
マリアンヌはシュウのはっきりしない態度に戸惑い、苛立った。
「私だったら、こんな奴らと違って貴方を幸せに出来る。
貴方の医療ミスはなかった事にだって出来るのよ。私が、事故が起きた日に行って
貴方の過去を少し変えれば、貴方は死ななかった事に出来るわ」
マリアンヌは、自分はエレーナ達のような失敗はしない、天上界の天使達とは違うと強
調した。
「それはなりません! 過去を変える事がどれだけ恐ろしい事かまだ分からないのです
か?」
エレガンス幹部が制止した。
「せっかくですが御断りします」
シュウは、きっぱりと断った。
「なぜ、断るの? このままじゃ貴方は本当に死んじゃうのよ」
「僕の事はもういいです。起きてしまった事は受け入れるしかありません」
シュウは既に現実を受け入れていた。
ますます、シュウの気持ちが分からなくなったマリアンヌ。
「シュウは天上界に何かしてもらった事があるの!
人を幸せに出来ず、不幸も取り除けず、これじゃ何のための天上界なの!」
みけんに深くしわを刻み込んだその怒りの矛先は、最後にエレガンス幹部らに向かった

「僕の事でもう争わないで下さい。 僕は同じ天使達が争うのは嫌です」
シュウは、マリアンヌやエレガンス幹部達に懇願した。
それはシュウの悲痛なる叫びでもあった。