エレーナ再びそれぞれの想い

 そんな時である。
中沼が突然警察から呼び出しを受けたのは……
エレーナは何か胸騒ぎがした。
エレーナはひそかに、中沼を追った。警察署に着くと、姿を消して中沼と刑事達とのや
り取りをうかがった。
そして、そのやり取りから、驚くべき事実を聴かされたのだ。
「医療事故? それは、本当ですか!」
中沼は、ひどく取り乱した。席を立ち上がり、前のめりになりながら刑事達を問い詰め
た。
「落ち着いて下さい」
刑事がなだめるが、中沼の興奮が収まる様子はない。
実は、シュウの死に疑念をいだいた郁乃と結衣が、ひそかに警察に捜査を依頼していた
のだった。
そのシュウの育ての親である郁乃と結衣は、土砂崩れで今も行方不明。
代わりに、執事である中沼が警察から結果を聴かされる事になったのだった。
「死因は、不適切な薬物投与による医療事故!」
そう書かれた書類を中沼は刑事から手渡された。
投与された薬の量が多すぎた事により、強い副作用が発生。
シュウは死に至ったのだ。
エレーナは、愕然とし、固まったまま身動きが取れなくなった。
あの日、シュウは独りで大丈夫だからとエレーナ達の付き添いを拒み、病院へ出掛けた
。
それが、シュウの最期の姿だった。
そして病院から戻って来たシュウは、既に死亡、幽霊になっていたのだった。
しかし、それすらもすぐに気づかなかったエレーナ達。
「あの日、無理にでも付き添っていれば、こんな事にならなかった」
エレーナは自らを責めた。
だが、果たしてそうであろうか?
エレーナが付き添ったところで、本当に医療ミスは防げたと言うのか?
シュウにどのような医療行為が行われているのか、そばで見ているだけで、医師でもな
いエレーナに判るはずがない。
付き添っていればよかった……
原因を知って、後からああすればよかったというのは、いくらでも言いようがある。
エレーナが付き添ったとしても防ぎようがなかったはずの事故。
 
 実はもう二名、姿を消してエレーナと同じようにひそかに刑事達の話を聞いている者
がいる事にエレーナはこの時、気づいていなかった。
「まさか、あのシュウって少年、こんな死に方をしていたとは……」
マリアンヌは衝撃を受けた。
「それで、どうなさるおつもりですか?」
その傍らには、シオミ・クレハ・グランチェスタがいた。
「エレーナはかなり動揺してる。このままじゃまずいわね」