エレーナ再びそれぞれの想い

 一方天上界、巨大樹の力はさらに弱っていき、一部の枝が枯れ始めた。
「巨大樹はこの通り、さらに弱っています。もう時間がありません」
イザベラ・エレガンス幹部は、枯れた枝を巨大樹の周りに集まった天使達に見せ、清らかな心の持ち主は見つかったか問うた。
「幹部、ひとりだけいることはいるんですが……」
ジェシー・クリスタルが、申し出た。
「それは、誰なんです?」
「宮原慎一の生まれ変わりの、白川シュウという少年です」
周囲がざわき、慎一の噂を始めた。
「お待ち下さい」
エレーナが止めた。
「シュウ君は、2度にわたり災害で家族を亡くしたばかりで、精神的に耐えられません。
今、シュウ君に天上界への協力をを求めるのは、余りにも酷ではありませんか。
それに、シュウ君は幽霊です。
無理を強いれば、霊力を使い果たし、消滅してしまうかもしれません」
「だが、清らかな心を持つ人間はなかなか見つからず、今のところ、シュウしかいません。
私だって、本当はこのような事をさせたくないのですが……」
ジェシーも天上界の存続と、シュウの気持ちが安定しない事とのはざまで苦しんでいた。
「うそっ? 契約者は幽霊だって」
周囲の天使達がまた噂をしている。
天上界の幹部達は、幽霊少年を協力者にすることは考えていなかった。
幹部達の考えを取りまとめた、エレガンス幹部は一同にこう言った。
「幽霊である白川シュウに協力させるのではなく、他の人を捜すべきです。
もちろん私達も、巨大樹が少しでも延命するように最善を尽くします。
皆さんは、他に出来る人を一刻も早く見つけて下さい」
天上界崩壊まで、残された時間は少ない。