喉を押さえてのたうち回るアニキとヤスの様子を少し離れた所から眺めながら、羽毛田は嬉しそうに笑っていた。
「ザマアミロ♪どうだ!俺のたてた作戦は♪」
「なんか……地味な作戦ね……」
まだ出番の無いセイが、少し不機嫌そうに呟いた。
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「おい!もっとましな飲み物はねえのか~っ!」
そう言って、真っ赤な顔で抗議するアニキとヤスに対して、ゆみはあくまで冷静に答えた。
「お客様が、どちらでもいいと仰ったので、たまたま赤い方をお渡ししただけですが……こちらの緑のヘルシードリンクは、辛くありませんよ♪」
「だったら緑の方をくれっ!」
しかし、亡者のように両手を伸ばす二人の前で、ゆみはボトルを届かないように高々と上げて、ドスのかかった声でこう言った。
「お前ら調子に乗ってんじゃねえよ!タダでやるのは最初の一本だって言っただろ~が!」
確かに“キャンペーン中につき、最初の一本は無料”だとは言っていたが……まさか、最初の一本が激辛ドリンクだとは……
「わかったよ……カネは払うから……いくらだよ?」
「一本、二万円ですにゃ♪」
「非道すぎる・・・」
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